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「文章王の掌編小説ゼミ」6月度 募集中!

◆『文章王の掌編小説ゼミ』 2009年6月度

  • 時間:2009年6月26日(金) 19時より 2時間程度
  • 場所:東京都豊島区目白3-2-9-4階
  • 地図:http://www.hiden.jp/contact/map.php
  • 料金:4,000円(1400字)または 5,000円(2800字)
  • 詳細:http://www.hiden.jp/semi-2009/

    申込み締め切り 6月19日(金)
    投稿締め切り 6月23日(火)
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太陽がきらめいた/浅木

「あんた、気ぃつけてマスクして歩かんと、豚なるで。東京でも流行ってるんやろ、おかあさん心配や……」
「うん、分かってるって。はい、はい、ブヒッ」
「あんた、今、ブヒッって言った!?」
「言ってへん、忙しいから切るでブヒッ」
「ちょっとあ…」
私は携帯を切り、深いため息をついた。そして、壁にかかった鏡を見る。
鏡の中の豚と目があった。コラーゲンたっぷりそうな豚の顔。それは、首から上が豚になった自分の姿だった。

西暦2009年6月、世界を豚インフルエンザが席巻した。WHOは即座に流行レベルをパンデミックへと引きあげ、流通・交通網の封鎖を行ったが、人類の対応は間に合わなかった。
豚インフルエンザの症状は、まず鼻・喉に現れる。鼻・喉を中心に急速に姿が変わってゆくのだ。外見変化の原因は、まだ解明されていない。が、現時点で分かっているのは、ウイルスは進化の母体となった豚のDNAを保持しており、そのウイルスが人間の体内へ侵入してゆくことで、人間のDNAに変化を与える。また、一度変化したDNAは、ウイルスが死滅しても元に戻らない、という事だった…。

私は、もう一度鏡を見た。
鏡に映し出されたのは、花柄模様のチュニックに、ワインレッドのジャケット。その上に載っている豚の顔。違和感の帝王がそこにいた。
「ブヒッ(泣)」
悲愴につぶやく。すでに言語にすらなってない。
この病気、ウイルス自体は弱毒性のため、上半身(喉から上)までしか発症しない。が、感染能力が高いため、感染者は日に日に増加していた。テレビでは、各地の医療機関で治療を行なっていると盛んに報道していた。けれど私は知っている。報道規制を受けないために、真実が露出するインターネットの掲示板──2チャンネルによると、日本政府は既に各地で"屠殺"を行なっているのだ。報道を信じ、ホットラインに電話しようものなら、直ぐに屠殺隊がやってくる。そう、もう信じられるニンゲンはいないのだ……。信じられるニンゲンは……ニン…ゲン………
「ブ、ブヒッ……!?」
その時私は、気がついた。
そうだ……人類全員が豚になればいいのだ。そうなれば、問題は自然と消えてなくなる。
私の心の暗雲が、サァッと晴れ渡った。外に出よう。そして、このインフルエンザを広めようじゃないか。それで全ての問題は解決する。豚にとっては、まるで入れ食い状態のいい話じゃないか。
私は、ドアを開け、狭いアパートから飛び出だした。
目指すは駅前──私は飛ぶように走った。両手を水平に伸ばし、ブーンと気持ちよく。
「ギャア嗚呼嗚呼ッッ!」
すれ違ったニンゲン達が、狂ったように叫び逃げてゆく。私を中心に放射状に逃げゆくニンゲン達。なかなか良い気分だ。
お陰で駅までたどり着く頃には、すっかりとニンゲンがいなくなってしまっていた。
途方にくれる私。その時、私の垂れた耳が、遠から聞こえてくるサイレンの音を捉えた。
「………ブッヒッヒッ」
まるで挑戦者を受け入れるチャンピオンの気持ちだ。どうだ、こいよニンゲン。それが目的だったのだから。
駅前の広場に、数台のパトカーが止まった。続いてパトカーから、防護服を纏ったニンゲンがばらばらと現れた。

私はニヤリと笑った。
そして、四つんばいになり、一人のニンゲンへと突進する。
大空へジャンプ。太陽がきらめいた。軽々とニンゲンと突き飛ばし、馬(豚)乗り状態となる。
私は、勝利への確信と共に、ウイルスを吐きかけてやろうと、防護服の頭部を食いちぎった。

「…………!」
そこに現れた顔は。
白い羽毛と、赤いトサカ。黄色いくちばし。

(……と、鳥インフルエンザ……!?)
その瞬間銃声が聞こえ、私の視界は暗転した。

テーマ:短編小説 - ジャンル:小説・文学

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