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山頭火。全国を放浪し、俳句を残した。貧しきお坊さんである/火星紳士

 最近、こんなCMをみた。

「パチンコ山頭火。が、ついに出た!」寒そうな吹雪の中を歩くボロボロの坊主、彼の後ろの季節が次々と変わる。野宿をする坊主。物乞いをする坊主。大変そうな生活である。

 最近はなんでもパチンコになるが、ついにここまで来たのである。ネタが尽きたのであろうか。しかし、俳句がパチンコにあうのかどうか疑問である。水着のお姉ちゃんや、格闘物のアニメや、なつかしヒーローならまだわかる。昔のスターでもいいだろう。しかし、俳句はしみじみと味わうものである。しみじみしていて玉は出るのだろうか? 山頭火の出身地は山口県だ。オレの出身地と近い。

 で、近所にある、小さなパチンコ屋に行ってみた。平日ということもあって店内はガラガラで、オレのほかには客が2人居るばかり。旧街道沿いの、静かなパチンコ屋だ。

 手近な台を選び、射ち始める。ん? 妙に玉が遅い。他の台と比べて、半分以下のタイミングだ。パシュッ、パシュッと1発づつ、玉が出る。さびしい。しみじみとした射ち心地だ。チン、ジャラジャラとは音が違う。ピュロロロロという笛の音(とんびの鳴く声?)が聞こえる。そして、カッコウの鳴く声。あとは、玉がガラスにあたるカン、カチッ、という音だけだ。お、入った! 中央の小さなディスプレイが動き始める。網代笠をかぶった、髭面の汚い坊主が歩き出した。そして、段々と、走り始める。走りながら、細長い紙をまき散らしている。紙は竜巻のように舞い上がり、画面が1回消えてから、坊主が托鉢を求めてくる。とてもじゃないが、有名な俳句の人には見えない。こ、乞食坊主のようだ。あ、そうか! 玉か! 托鉢している間に、もう一度玉を入れるのだ。1度目は失敗。細長い紙は風に吹き飛ばされてしまった。坊主はとぼとぼと去っていった。2回目、カッコウ。また紙が舞い上がり、坊主は托鉢を始めた。笠がピカピカと点滅している。おお、これはチャンスに違いない! 確変か? 確変とは確率変動、ようするに玉の出方が、今まで千円だったのが万円になるチャンスなのである。よおおーし! いけー! 托鉢だー! 入れ! 入れ! 入った! 坊主が喜んでいる。おお、なにか筆をとって書いている。よーしコイコイ、キター! 「分け入っても、分け入っても、ドル箱の山」やったー。玉が出る出る玉が出る。

 ちなみに、山頭火の句は「分け入っても分け入っても青い山」とか「雪がふるふる雪見てをれば」とか「酔うてこほろぎと寝ていたよ」とかあるのだが、有名なのは、「うしろすがたのしぐれてゆくか」「まっすぐな道でさみしい」などである。素朴な句が多い。

 その後、オレは「玉がでるでる玉みておれば」を2回と「酔うてパチンコ屋で寝ていたよ」を1回当てたが、いつの間にか玉は底を尽き、店を出た。

 まっすぐな道でさみしい、財布。

テーマ:短編小説 - ジャンル:小説・文学

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